2014年3月14日金曜日
ガイジン
日本のメディアを騒がせている、浦和レッズのサポーターが掲げた横断幕について、
ちょっと独り言をボヤかせてもらおうかな。
今シーズンJリーグのホーム開幕戦、浦和レッズのスタジアムの観客席入り口付近に
「JAPANESE ONLY」
という横断幕を掲げたことで、人種差別ではないかと物議をかもしている件、
かなり周知のニュースで、イギリスに居る私の目にも留まったわけで。
イギリス国内のスポーツ紙やニュースでは特に取り上げてはないので、
盛り上がっているのは日本国内だけなのかな、と思っているけども。
今日読んだ記事によると、横断幕を掲げた熱狂的なサポーターたち曰く、
「ゴール裏は聖地で、自分たち以外には入って欲しくない」
「最近は海外からの観光客が来るので統制が取れないのが嫌だった」
とのことらしい。
なので「日本人のみ」→「外国人お断り」とのアピールだったみたいで。
これって、実に身勝手な理由で、人種差別の最たるものじゃないのかな。
外国人観光客が来たところで、「自分たちのチームを海外の人が応援している」
という嬉しさにはならず、まるで異物が入ったのを排斥するような考え。
その外国人観光客だってお金を払ってスタジアムにはいっているわけで。
じゃあ、日本人がイギリスのプレミアリーグを見たい、っていって高いお金を出して
スタジアムに着いたら「あ、イギリス人じゃないからダメ」って言われたとしたら、
これを人種差別以外の何と捉えますか?
日本のサッカー界が盛り上がるのは大いに結構で、リーグ開始から20年を超え、
Jリーグ百年構想を目指して、地元のファンを獲得・拡大し、選手もそれに応える。
特に浦和のように、リーグ発足当初から熱烈なサポーターが居るクラブは貴重で、
ダメな試合をした選手に生ぬるい拍手を送るより、罵声を浴びせて鼓舞するくらいの
サッカーへの熱い気持ちを持つことには大賛成である。
けど、「クラブ愛」みたいなものが先行し、「応援の統制を取らなければ負ける」
なんて一方的な方向に走ってしまうのは、それはサッカーが好きなんじゃなくて、
「そのクラブを愛している自分が好き」の、自己満足になっちゃわないか?
そのためには、外国人みたいな存在が疎ましい、だから日本人だけに限る、
なんて良からぬ方向に駆り立てたりしたんじゃないだろうか?
浦和レッズは、この事件に対しての処罰を明確にした。
横断幕を掲げたサポーターの無期限スタジアム立ち入り禁止、無観客試合など。
世界のサッカー界では常識なレベルのペナルティーではあるが、
それを受け入れたのは、これもまた大きな一歩のような気がする。
ただ、ここで考えるのは、こういった事件は浦和だけで起こりえるのか。
こぞって「ほれみろ、浦和サポーターは」と揶揄するのはお門違いで、
どのクラブでも起こりえる事件だったのではないだろうか。
普段は周りの目や世間体を気にして、他の人に迷惑をかけないような教育を受けてきた
日本人は、ひとたびスイッチが入ると、ひとつのことに没頭し、集団になると
それこそ「カラスは白い」と誰かが言えば、そうかもしれない!と信じかねない、
そんな国民性を持つ人であれば、「外国人が居るとダメになる」なんて意見に流され、
同じような事件を起こしてしまわないだろうか。
そもそも、日本では「外国人」に対する距離感も、まだ遠いままのような気がする。
外国人が都内で部屋を借りることの難しさは日本人には全く分からない。
日本生まれ・日本語が母国語の在日の人ですら貸してくれない物件もまだまだある。
「騒ぐから」という一方的な偏見で外国人の入店を断る飲み屋だって存在する。
家賃滞納、騒音、ルール違反などをする日本人だってゴマンといるにも関わらず。
要は、「外国人」に対する敷居の高さは、戦後から大して変わっていない。
私は特に、「ガイジン」という言葉が嫌いだ。
「外国人」は、外国から来た人、英語で言えばForeignerなのに対して、
「外人」って、外の人、自分と同じ枠じゃないところの人、という意味合いを感じる。
英語で言うところ、Alienだろうか。エイリアン、異星人みたいだ。
もちろん、ただただ「外国人」を略しただけだともいえるけど、響きは良くない。
なんなら「内人」って単語は無いじゃないか、とも思う。
国際化社会、英語教育云々なんて言われながらも、普段の生活で外国人と接点のない
日本人が多いのも事実。鎖国、とは言わないけど、外国人が居ない生活が
普通である環境なのだから、仕方がない。
イギリスに住み始めた当初、私は一時帰国するたびに、この辺りが不思議だった。
なんで日本にはこんなにも日本人しかいないのか。
でも、イギリスの永住権をとるためのペーパー試験を勉強してたときに気が付いた。
イギリスは、第二次世界大戦後、戦勝国にも関わらず疲弊しきっていた。
それまで、大航海時代を制し、大英帝国を築き、貿易ではポンドが世界通貨だった
あの頃の経済力は衰退し、ドイツ軍の攻撃で焦土と化したイギリスを立て直すために
政府が取った施策とは、世界中にある植民地から大量の移民を受け入れ、
復興のための労働力に変えることだった。
インドから、アフリカから、カリブ海の国々から。
これにより、イギリスは復興を遂げるも、すでに世界の経済はアメリカに渡っていた。
その間、イギリスに流入した移民たちは、そこで2世、3世となり、
色んなルーツ、肌の色、文化を持った人たちが「イギリス人」になっていった。
確かに現在でも田舎町に行けば白人社会のような環境もあるが、ことさらロンドンは
色んな人種で溢れ返っているため、「人種差別」への敏感さは並大抵ではない。
一方、日本は戦後、アメリカがGHQを作り、アメリカによる統制、民主主義の下、
憲法が改められ、日本人の手によって、日本という国を再建していった。
もちろん、戦時中に韓国や中国から日本に連れてこられた人たちも、その労働力として
含まれてはいるが、政府が移民を斡旋するようなことはしなかった。
世界に誇れる忍耐・不屈の精神で、戦後復興、経済成長と、目覚しい発展を遂げ、
いつの間にか世界の経済に日本あり、まで上り詰めた。
教育にも力が注がれ、識字率は実に100%とも言えるほどで、
あらゆる高等教育、専門書などは日本語に訳され、日本で生まれた人は
不自由なく日本語で生活し、日本語で仕事ができ、日本語で老後も暮らす。
日本人だけの環境であることで、何も違和感なく生活している。
だから、ガラパゴスと言われようと、日本の独自文化、徹底したサービスなど、
世界に誇れるものも生まれた。けどその一方、外国人を受け入れる環境は無い。
だから、外国人に対する距離感は縮まることはない。
先日、外国人労働者の受け入れを拡大するような政策が発表されたそうで、
もしこれが可決され、労働ビザ発行の簡易化、移民の受け入れなどが増えると、
より多くの外国人が日本に来る可能性がある。(賛否あるし、私は反対だが)
これは、被災地の復興など肉体労働者が圧倒的に不足していることが理由らしく、
というのも、汗水たらして手を汚すような仕事を、日本人が引き受けなくなった、
というのが原因らしいのだが、それこそイギリスの戦後復興とイメージが重なる。
デスクワークしかしないイギリス人の代わりに、ロンドンの道路を舗装したのは
アフリカから来た労働力だったわけだし。
話を戻すと、そういった外国人との生活がより増えていく中で、
今回の横断幕みたいな人種差別な行為は、日本人の品性を下げることになる。
みんなの頭を変えていかなければいけない時期なのではないかな。
人種差別って、簡単に起こるものだと思う。口にしたり、態度に出たり。
言葉や文化や肌の色が違っても、みんな生まれたては赤ちゃんで、
お父さんもお母さんもいるし、美味しいもの食べたいし、幸せになりたいと思ってる。
誰もが同じ。それを享受して、リスペクトしていかないといけない。
2020年には東京でスポーツの祭典が催される。
そんな時に、今回のような横断幕が出ないことを祈るばかりです。
なんて。
独り言がそうとう長くなってしまいましたが、この辺りで寝るとしますです。
ぬま~りお
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