2014年5月27日火曜日

イギリスで家を買ってみよう - その2 「準備編・諸費用」


さて、ちょっと時間が空いてしまいましたが、イギリスで家を購入する・その2です。

「準備編」ということで、色々と準備しておいたほうがいい、知っておいたほうがいい、
諸費用に関してです。



家を購入するにあたって、当然、諸手続きに費用がかかります。
以下が最低限必要な項目です。


[銀行に支払うお金]

① Deposit (ローンの頭金) ・・・ 多ければ利息は低く、少なければ利息は高いです
② Mortgage Booking Fee ・・・ ローンを組む時に必要な手続き料金
③ Completion Fee ・・・ ローンが最終的に合意に至った時点で発生する手続き料金

[銀行以外で発生するお金]

④ Surveyor Fee ・・・ 家を査定し、修繕が必要か、適正価格かを審査する費用
⑤ Solicitor Fee ・・・ 法的書類の処理を実施する司法書士・弁護士にかかる費用
⑥ Stamp Duty ・・・ 購入にあたり国に収める税金

[必要に応じて発生するお金]

⑦ Estate Agent Fee ・・・ 家を紹介した不動産屋に支払う費用
⑧ Mortgage Adviser Fee ・・・ ローンの選別を手伝う業者に支払う費用


日本で家を購入するのも、諸手続きが必要だと思いますが、
こちらイギリスでも、やれ何が必要だって言って、色々と費用が発生します。
なので、これがいくらくらいかかるのか、事前に知る必要があります。



① Deposit

家の価格に対して、何%の頭金を入れることが出来るのか次第で利息が変わります。
各銀行・金融機関は、Mortgageに関するあらゆる商品を発売しています。
利息も金融機関によって様々。なので、Mortgage選びは非常に慎重になります。

昔は頭金無しのMortgageも組めたそうですが、リーマンショックなどの煽りもあり、
頭金が無い人は貸付をしないことになっているため、必ず頭金は必要です。
最低、5%からで見つけることが出来ますが、銀行もリスクを踏みたくないので、
殆どが10%、15%以上からの受付になっている商品ばかりです。

となると、例えば30万ポンドの家を購入し、ローンの頭金を10%にすると、
Mortgageを借りる際にはまず3万ポンド (約500万円)の頭金が必要になります。
ですので、自分が買いたい物件、用意できる頭金を見極めなければいけません。

頭金は多ければ多いほど、銀行も貸付負担金額が減るので、その分、
利息も低く設定してくれますが、少なければリスクを補填するために利息が高くなります。
なので、頭金は多ければ多いほど、後の負担が少なくなります。


② Mortgage Booking Fee

ローン貸付の予約をする際に発生する料金で、銀行によって設定が様々。
ワンオフの支払いなので、もし購入手続きが途中でキャンセルになってしまったら、
このお金は返ってこないので要注意です。

かなり幅がありますが、大体、100ポンドから1,000ポンドくらいが目安です。
これも、Mortgageの形態によって、多く支払えば特典がある、などの違いがあります。


③ Completion Fee

全ての手続きが終わってローン開始になるタイミングで、発生する料金です。
30ポンド程度と、そこまで高い値段ではありません。


④ Surveyor Fee

イギリスの家は、新築で購入できることは非常に稀で、大抵は既にある家を
購入することになるのですが、築年数が100年を超える物件が多いこの国では、
購入予定となる家を、購入者が審査しなければいけません。

これは法的に必要な手続きで、どんな物件でも必ず必要です。
修繕箇所が必要じゃないのか、適正価格で販売されるのかの見極めがなされます。
もしここでNGとなった場合、家は購入できず振り出しに戻ります。

個人でも手配可能ですが、Mortgageを貸し付ける銀行側に依頼するのが楽です。
値段は200~300ポンドくらいで、審査する人が30分ばかりその家を検査して、
書類を作成して、銀行・司法書士に提出してくれます。


⑤ Solicitor Fee

物件購入にあたって、各種法的な書類手続きがあり、それを全て作成・提出して
くれるのがSolicitorです。日本語で言うなれば司法書士の方、というところでしょうか。
弁護士ともちょっと違いますが、こちらの法的な資格を持った人ということです。

購入する側・販売するオーナー側と、双方ともにSolicitorをつける義務があり、
両Solicitorが必要書類の提出をして、初めて公式に購入手続きができます。
個人で依頼することも出来ますが、銀行に紹介してもらうことも出来ます。

料金は、これもかなりマチマチですが、私が支払ったのは1,500ポンド (約25万円)で、
相場もこのくらいだと思います。


⑥ Stamp Duty

いわゆる、物件購入税です。これは国に支払う税金で、逃れられません。
この税金は、物件の価格に対して何%、といった形で額面が決まります。

現在の法律では、25万ポンド以下の物件は1%の税金、これを1ペンスでも
超過した場合は、3%の税率に変わります。この差額はかなり違います。
要は25万ポンドの家なら2,500ポンドの税金のところ、もし26万ポンドの価格になると
税金は7,800ポンドになります。その差5,000ポンド (約85万円)以上!

なので、この税率を気にしながら、家の価格設定を見る必要があります。


⑦ Estate Agent Fee

物件を紹介してくれた不動産屋に支払う手数料で、これも会社によりマチマチ。
大体は、物件の価格に対して1.5%を支払うようになっているようです。
なので、もし20万ポンドの家であれば、3,000ポンドが手数料になります。

尚、私は、前のオーナーから直接購入した個人売買だったため、
不動産屋を通さずでした。ので、この費用はかかっていません。


⑧ Mortgage Adviser Fee

先述の通り、Mortgageの商品の多さは様々で、大手銀行以外でもあらゆる
金融機関で取り扱っています。なので、自分の収入、準備できる頭金などから
どれがベストの選択なのか、見極めが非常に難しいです。

そういった中、そのMortage選びを手助けしてくれる業者がいます。
大体、100~200ポンドくらいの値段で、自分の情報を渡せば一番いい条件の
銀行または金融機関を選んでくれます。

尚、私は自分で色々と調査して、自分のメインバンクにMortgageを頼んだので、
この料金も発生しませんでした。


と、こんなわけで、色々と事前準備で知っておいた方がいいですね。
恐らく、この辺りを知ったところで、あー無理だなー、とか、いけるかもー、とか
判断されるのかなー、と思います。



ということで、次回は銀行選びに関して書きたいと思いますー。

 

2014年5月16日金曜日

イギリスで家を買ってみよう - その1 「家選び編」


どうも、ぬま~りおです。



イギリスの物価と日本の物価、どちらが高いか、なんてよく聞かれることが
あるのですが、それは本当に物によってマチマチだとしか言えません。

あえて言うなら、イギリスでは比較的、「手の込んだもの」は高いです。
外食は結構しますし、食品も加工品は高いです。が、野菜などの食材になると
日本のスーパーで見る値段よりも全然安いです。
多分、日本では「サービス」の一環になっているような工程でも人件費がかかる、
だから値を上げる、の図式になっているのだと思います。



で、物価を話す際に次に出てくるのがイギリスの家賃。というかロンドンの家賃。
これは東京のそれと比べても相当なもんだと思います。

私が学生として渡英した2005年当初、1ポンドの為替レートは230円ほどでした。
お金も無かったし、一人暮らしなんて到底無理。
なので、3ベッドルーム・共同キッチン・共同バス&トイレを3人でシェアする
「フラットシェア」をしたのですが、それでも一人あたり月500ポンド。
当時の日本円で月約12万も払って、ロンドン中心から外れた場所でシェア生活。

なかなか高いぞ、これ!

就職して、ようやく金銭的に余裕が出て、一軒家を借りたけど、やっぱり家賃はキツイ。
というか家賃って、大家さんの懐に入るだけで、自分へのリターンは無い。
嗚呼、この家にこれまで住んできた期間の家賃を合計すると幾らになるんだろうか、、、
なんて考えたらもう悲しくなってきてました。
それなら、家、買っちゃえばいいじゃん!ローンは自分への投資だ!

ということで、昨年12月にロンドンに家を購入したのですが、自分の備忘用としても
その経緯、費用、プロセスなど、ブログに記しておきたいなー、と思ってみました。

まずは、家選び編。



<家を買う条件>

国籍は全く関係ありません。とにかくお金があれば買えます。当然か。
でも、誰もがそんな富豪ではないので、やっぱり銀行からお金を借ります。
家のローンのことを、こちらでは『Mortgage(モーゲージ)』と呼びます。
銀行が外国人に大金を貸すのにはやはり条件があります。

「滞在期間中に返済してね」

当然ですよね。借りるだけ借りてさよならーは無理です。
なので、イギリスの銀行で外国人がローンを組むにあたって、滞在ビザの
確認は必ず行われます。

家のローンは、大概は20年ローンなど長期で組まれることになることになるので、
もうその時点で『永住権』を持っていることが大前提になるでしょう。

ちなみに、オーストラリア人の友人が、5年間という労働ビザで証券マンとして
イギリスに滞在して、稼ぎはかなりのものだったけどやはり半分以上は
銀行から借りなければいけないので銀行に問い合わせてみたところ、

「いいですよ、5年内に返済していただけるのなら」

とのことだったそうです。。。んな、5年で返せるような買い物なら、
最初っから銀行で借りたりしないし。

というわけで、どこかの石油王だったりしない限り、こちらで家を購入するなら
永住権を持った人、というのが家を買う条件になるのかなと思います。



<家を探そう>

銀行やら司法書士の手続きやらは後ほど、嫌と言うほど関わってくるわけですが、
とりあえずは家を探さなければいけません。

ロンドンの住宅エリアを歩いていると、家の前にこんな看板を見かけることがあります。


For Sale』と書いるなら、この家は、現在売りに出てるということ。
ちなみに、『To Let』と書いてるものは、賃貸で入居者募集、という意味。
もし「このエリアに住みたい」という希望があるなら、ぷらぷら歩いていって、
こういった看板を探すのもいいでしょう。

実際に歩いてみて、危険なエリアかなー、とか、近くにスーパーがあるなー、とか、
そういったことも知ることが出来るので、原始的だけど割りといい探し方かも。

で、こういった看板には必ず不動産屋の名前と連絡先が書いてあるので、
そこに問い合わせてみるとか、その不動産屋のホームページを見て、
どれくらいの価格で売られているのか、というのをチェックする。

また、最近、「ロンドンで家探ししていて知らないヤツはモグリ」と言えるほど、
有名になっている検索サイトがあります。

Zoopla

このサイトの情報量はズバ抜けています。マジで。

Post Code  (郵便番号)を入れるだけで、その地域の家が、いつ、どのくらいの値段で
売りに出されたのか、今の相場は、といった情報が正確に分かります。
それだけじゃなく、その家の間取り、その地域近辺のあらゆる情報、
例えば学校までの近さ、病院、警察、犯罪率など、そこに行かなくても色々な
データを知ることが出来るので、まさに家探しにはうってつけ!

ちなみに、私が家を購入したあと、ふとこのサイトを見たところ、しっかりと
最終購入手続きが完了した日付で、実際に支払った値段が掲載されていました。
マジで怖い!どこから情報を得ているんだろうか・・・。

それでもやっぱりおススメなのは、その地域に実際に行ってみることですね。
というか、なんならその地域に引越しして、しばらく住んでみるとか。
私の友人で家を購入した人の殆どが、それまで住んでいた地域で買っています。
やっぱり、住めば都じゃないけど、どこにどんな施設、お店があるか、
どの道が危険か、夜は大丈夫か、などをよく知ったエリアで買うのが一番安心です。



<家のタイプと値段の相場>

イギリスの家は、いくつかのタイプに分かれています。

○ フラット (Flat)
いわゆる日本で言うところのアパート、というか、マンションです。
 ※英語でMansionと言うと、大邸宅って意味なので変な気分
日本で言う高層アパートはほとんど無いので、大きな家の中に
いくつか部屋があって、それを分譲で販売していることが多い。
値段は、他の家のタイプと比べると一番リーズナブル。
ざっくりした値段だと、15~20万ポンド(2500~3500万円)くらいかな。

○ テラス・ハウス (Terraced house)
日本で言うところの、長屋の家の一軒、といったところでしょうか。
隣りと家の造りはほぼ同じで、内部は左右対称になっていることが多いです。
こんな感じで、値段は25~35万ポンド(3500~6000万円)くらいでしょうか。


○ デタッチ・ハウス (Detached house)
まさに一軒家。隣りの家との間はしっかり空いていて、庭や駐車スペースもある。
ロンドン中心地で探すのはかなり至難の業。
こんな感じ。値段は、場所や部屋数によりますが、35万ポンド以上かな。


○ セミ・デタッチ・ハウス (Semi-Detached house)
言葉の通り、一軒家に二つの扉があって、別々に住む感じ。二世帯住宅みたい。
比較的ロンドンでも見つけることができます。
デタッチ・ハウスよりも部屋数が少ない分、若干お安め。


ロンドンに住んだことがある人ならご存知の通り、こちらでは新築の家を見かけません。
ここ最近、ロンドンオリンピック以降、高層ビルが建設されてきていますが、
かなり一握りな例で、それ以外の殆どが築50~70年以上です。
ちなみに私が買った家は築120年です。19世紀からあります・・・。
にも関わらずこの強気な値段!さすがです!

フラット以外の家に関しては、土地が含まれるかどうか、というのも値段を左右します。
土地が含まれることを「Free-hold」と呼びます。
上記で紹介したざっくりとした値段は土地付きです。
それを考えると、日本よりも安いかも、って思えるかもしれませんね。



ということで、次回は、実際に行動に移す前の準備編です。
 

2014年5月12日月曜日

プレミアリーグ 2013-2014シーズン 振り返り


どうも、お久しぶりです。ぬま~りおです。

4月には日本に一時帰国したりなんかしてバタバタしておりまして。

ようやく、ブログを書いたりしようかな、と。



さて、本日、イングランドのサッカー、プレミアリーグが最終節を迎えました。

結果としては以下の順位表。

※参照 BBC Sports


Manchester Cityが、2年ぶりに優勝したことで幕を閉じました。

ってことで、なんとなく今シーズンの振り返りを、ぬま~りお的観点で纏めてみます。


◆ シーズン前半

クラブ史上最高額の移籍金でエジルを獲得した我がArsenalがリーグを牽引。
Man Cityはホームでは抜群の支配をするもアウェーで取りこぼしがちらほら。
Chelseaは危な気なく勝ち点を積み重ねる一方、スアレスが開幕から7試合
出場禁止中だったLiverpoolはギリギリの試合をものにするなどで食いつく。

四半世紀以上も監督を務めたファーガソン前監督からモイズ新監督となった
Man Utdにも注目が集まったが、前シーズンに優勝を成し遂げたメンバーが
ほぼそのまま残留しているにもかかわらず、あれよあれよと黒星を重ねる。

マルチネス新監督になったEvertonも堅実に勝ち点を重ね、トップ4に食い入る
健闘を見せる傍ら、ベイルを放出した得た移籍金を使って多くの選手を獲得した
Tottenhamがどうしても勝ちきらない試合を続ける。

中堅チームでは、WBAが固い守備で上位組から勝ち点を奪う健闘を続け、
初のプレミアリーグ昇格を遂げたCardiffも必死に踏ん張る。
プレミア残留常連組だったFulhamとSunderlandは負けが続き、降格圏に。

最初に監督更迭に踏み切ったのはSunderland。つづいて年末には
Tottenhamがアンドレ・V・ボアスを解任して建て直しを図った。
2014年年明けはArsenalが首位で折り返す。



◆ シーズン後半戦

Liverpoolのスアレスが、出場停止が解けて試合に出場するようになってから破竹の
勢いで得点を重ねる。他選手に比べて7試合も出場試合が少ないにもかかわらず
圧倒的な得点力で得点王に。シーズン31得点。(Norwichのクラブ全体ゴール数が28)

この勢いの強いLiverpoolと対戦したArsenalが、まさかの1-5で敗戦をしたのを境に、
上位組み相手に大量失点で負ける試合を続け、Stoke、Swanseaといった中堅クラブ
相手にも勝ち点の取りこぼしを続け、首位陥落、タイトルレースから脱落。

一方、チーム全体の得点力の高さで群を抜いていたMan Cityが勝ち点を重ねるも、
アウェーでの弱さが続き、さらに安定したパフォーマンスのChelseaが首位に踊り出る。
Villa、Crystal Palaceといった相手に痛い黒星を喫するも、33節まで首位を維持。

下位ではFulhamが黒星を重ね続け、降格圏から一向に出られない展開。
途中まで健闘していたCardiffも軒並み勝ち点を落として最下位まで転落。
一方、監督交代を受けたSunderlandが最下位から一気に残留圏まで順位を上げる。

また、Crystal Palaceも、降格圏を行ったり来たりと低迷していたものの、
監督交代から一気にクラブの流れを変え、Chelseaに勝つなどで勝ち点を重ね、
見事残留確定まで順位を上げる。



◆ シーズン終盤戦

降格圏からの脱出に躍起だったSunderland相手にホーム黒星を喫したChelseaが
首位から陥落する。モウリーニョがChelseaを率いている間で初めてホームでの負け。
チャンピョンズリーグで勝ち残っていたため、試合数も膨らみ、失速をする。

途中からリーグ10連勝という破竹の勢いで猛追してきたLiverpoolが一気に首位に。
守備に脆さを抱えるものの、それを凌駕する得点力で勝ち点を重ねる。
FWのスアレスとスタリッジが得点ランキング1位と2位を独占する。

そこに粘り越して追跡するMan City。Liverpoolとの直接対決にも負け、
圧倒的にLiverpool優勢と思われる中でも、徐々にアウェーでも勝ちきる力を見せ、
最後の最後まで優勝が分からない状況に。

一方、タイトル争いから陥落したArsenalは来季CL出場権を確保すべく、
Evertonとの争いを続け、直接対決ではEvertonに軍配が上がるものの、
その後勝ち点を落とすことなく、Arsenalが4位以内を確実にする。

なかなか調子のあがりきらないMan Utdはついにモイズ監督を解任。
クラブ史上、半世紀ぶりの「解任」となった。さらに、来季のCL出場権も逃し、
ヨーロッパの舞台から姿を消すことに。



◆ 優勝まで

Liverpoolが24年ぶりの国内リーグ制覇まであと一歩、となった大一番、
ホームにChelseaを迎えた一戦が、Liverpoolの今シーズンのハイライトとなった。
チームを牽引してきたジェラードのミスなどで敗退。

この僅かな差で生じた勝ち点の浮き沈みの中で、固く勝利を重ねてきた
Man Cityが残り3節となったところで、3ヶ月ぶりに首位に躍り出る。
そして最後まで息切れすることなく勝ちを重ねたMan Cityが優勝する。



◆ 我がArsenalの総評

相変わらず夏の移籍では鈍い動きしか見せず、80億あると言われていた補強費に
ほぼ手をつけないままシーズン開幕を迎え、昨シーズンにギリギリ残留を果たした
Villa相手に、まさかのホーム開幕戦完敗を喫したことから全てが動いた。

毎年のようにエース選手の放出を続けるクラブが、初めてといってもいい、
世界トップクラスの選手、エジルの獲得に成功する。その額面は過去の移籍で
支払った最高額の3倍近く。まさに、大枚をはたいた買い物だった。

過去数シーズン、欧州全リーグの中でもズバ抜けたアシスト数を誇る
25歳の若きドイツ代表・エジルがクラブにもたらした効果は絶大だったと思う。
彼が何をした、というより、チーム全体が「今年は勝てる」という自信をつけた。

加えて、ここまで怪我などでイマイチその能力を発揮できていなかった
ラムジーが覚醒、中盤の支配力、フィニッシャーとしても大車輪の活躍を見せた。
ジルーも、供給されるパスの質に合わせてゴールを量産した。

それだけに留まらず、これまで課題となっていた守備の脆さも、メルテサッカー、
コシルーニーの二人のCBが抜群のコンビネーションを見せ始め、
リーグでも最小失点をキープし続けたのも首位快走の要因となった。

ただ、上位クラブ相手のアウェーでの試合ではその守備が著しく弱くなる傾向があり、
Chelsea、Man City、Liverpoolの3試合で17失点を喫する。
どの試合も、開始直後から猛攻を仕掛けられ、アッサリとリードを奪われる。

シーズン後半に入ると怪我人が続出。ウォルコット、ラムジー、ウィルシャーに続き、
スキル的にも精神的にも要となりつつあったエジルも怪我で戦列を離れると、
一気にそのパフォーマンスを下げ、質の悪いサッカーで下位相手に負けがこんだ。

唯一の救いとしては、FAカップ決勝まで進めたことと、4位以内で終えたこと。
特にFAカップは、Tottenham、Everton、Liverpoolという相手に全て勝ったことで、
一発勝負の試合における勝負強さを感じることが出来た。

最終的には、ヴェンゲル監督就任以降、18シーズン連続で4位以内で終え、
面目躍如となった形ではあったが、優勝したMan Cityでさえシーズンで6敗するという
拮抗した優勝争いの中でタイトル獲得できなかったのは実に悔やまれる。

確かに18シーズン全て4位以内というのは偉業だが、ここ最近10シーズン、
リーグ優勝をしていないことを鑑みると、ヴェンゲルの進退がそろそろ問われる時期
とも言えなくもないが、まずはFAカップに優勝できるかにかかっている。

ひとつ、大きくポジティブな点は、今いる選手たち、特に若いイギリス人選手たちが
こぞって複数年契約を残していることで、ラムジー、ウォルコット、ウィルシャーなど、
タレントのある選手は、高い確率で来季もクラブに残る。

今シーズンの自信を糧に、プラス夏の移籍で加入する選手の質によっては、
来季は更に良い結果を残せるのではないか、とサポーターは期待を寄せている。



◆ その他の特筆点

なんといってもLiverpoolの大躍進とMan Utdの急降下が最大の注目点。

Liverpoolはロジャース監督の元、去年からさほど面子を変えることなく、
あと一歩で24年ぶり悲願の優勝となるところだった。
特に、ヒルズボロの悲劇から25年という節目の年。選手の想いも強かったでしょう。

去年までは大問題児だったスアレスが、まるでメッシかと思わせる勢いで
ゴールを量産、スタリッジ&スターリングのヤングイングランド代表の二人も
それに合わせるように覚醒。まさに手がつけられない強さだった。

あともう一歩。本当に守備における致命的なミスが解消できれば、
来シーズンは本気で優勝もありえる、強いクラブになった。

一方、、、どうしたんでしょう。Man Utdは。

モイズ監督の選手起用、戦術などにケチをつける人も多いし、確かにここぞの時の
采配でおかしいな、と思う点も多々あったようだが、問題はそこではなく、
これまでの監督が放っていた存在感の強さがなかったから、と思う。

例えば移籍にせよ、ファーガソン元監督がいるだけで、他クラブのトップクラスの
選手達は、「あの監督の下ならさらに活躍ができる」といった大きな期待を持って
Man Utdを移籍先に選ぶところ、そういったものはもうなくなった。

さらに、これまで厳しい管理、監督指示の下にプレーしてきていた選手たちは、
まるで空気が抜けた風船のように、ここぞというところで緊張感を持たなくなった。
監督への不平不満を露わにし、チーム内での不協和音となった。

これまでのMan Utd、勝利のメンタリティーをもったチームというのは、
負けるかもしれないギリギリの試合になった時に、同点に追いつき逆転する。
粘り腰のあるメンタルの強さがあったが、もうこのチームにはそれがない。

Man CityやChelseaのように、莫大な資金で得点力のある選手を獲得し、それで
相手をねじ伏せる、というサッカーではなく、Man Utdは、チームの結束力があって
これまで優勝を重ねてきた。それが無い今、もはや他の中堅クラブと同じに見える。

しかし、ここまでの四半世紀、欧州サッカーを牽引してきたMan Utdが、
欧州の舞台から消えてしまうのは、いちサッカーファンとしても寂しい思いがある。
早急な対策は難しいと思うが、いつかまた、強いMan Utdを見たいと思う。





ふー。

長くなりましたが、そんなこんなで今シーズンも終わりです。



と、

来月からはついにワールドカップです!!!

サッカーがなくて暇だー!ってなることがない!なんて素晴らしい年なんだ!

体を酷使している選手達には申し訳ないけど、楽しみでございまする!





ぬま~りお